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MMPブログ

2022.12.09

今も、昔も

DTPその他

こんにちは。

いつも「こんにちは」と書くときに「こんにちわ」とどっちを書くか迷ってしまう、MMPの高橋 学です。昔は「こんにちわ」とも書いたそうですが、現代においては「こんにちは」が正解だそうです。まあ、そうですよね。

時の流れによって、言葉やファッションは若い人によって変わっていきます。それはとてもいいことだし、そうでなければいけないと思います。一方でツールや表現は変わっても、人としての根底や本質はさほど変わっていない、のではないか。今回はそんなお話です。

先日私の父(90歳)が、50年前に新築で購入し、今まで所有していたマンションを売却しました。私にとっては「実家」です。姉たちや私は一抹の寂しさがありましたが、父は心配の種が一つ減ってすっきりしたそうです。タイミングが良かったのか意外に早く、高く売れ、その点では家族一同非常に喜んでおります。

不動産屋さんを仲介にいれて売却活動をしていたのですが、不動産屋さんがびっくりしていたのが、父が当時のパンフレットをきれいな状態で保管していたことでした。もともときっちりしている人なので、当時の書類もほとんど取ってあったのですが、50年も前のパンフレットをきれいに持っている人は初めてだと言っていました。

そのパンフ、買主さんとの契約の時に私も初めて見ました。200㎜×200㎜ぐらいの小さめのもので、白地にイラストとマンション名だけの表紙、周辺環境写真をちりばめたライフインフォメーション、路線図と主要駅までの時間を記した通勤アクセスの紹介、完成予想イメージパースと物件概要、そしてタイプごとの間取り図面。内容、構成はほとんど今と変わっていません。ただ、当時はDTPという概念は当然なく、写植組版でレイアウトしていてノスタルジーにあふれるものでした。テキストが妙に大きかったり、フォントもなんだか太くやぼったく見え、間取り図面はスタイリッシュとは程遠く、イメージパースは当然手書き。今のものと比べると、デザインやクオリティ自体は稚拙です。

ですが、です。なんか妙に引き込まれるんですね。まあ、懐かしい風景や自分が通った小・中学校の写真が載っているので当たり前なのですが、それより全体の暖かさというか、丁寧さが伝わってきてほのぼのした気持ちになってきます。当時の父がどういういきさつでこのマンションを買ったのかは知りませんが、このパンフレットも購入を決意する一助になったのかと思うと、感慨深いものがありました。

親会社の三栄建築設計は、住宅のデザイン性を追求している会社なので、広告のデザインにもこだわります。その中でここのところ多いリクエストが、「手書き風に」「イラストをいれて」など、暖かみや親しみを持たせるような広告デザインです。DTPは、PC上で基本的にはマウスやキーボードを使ってソフトを操作し、デザインやレイアウトをしますが、(PC上とはいえ)ペンを使っている頻度が高くなっているような気がします。組み込まれているものだけでは表現しきれないものがあるんですね。それが「暖かみ」ということになるのかもしれません。

PCのスペックが高くなり、ソフトもどんどん進化して制作作業の効率は飛躍的に向上しています。おしゃれなデザインの広告も多くなっています。とはいえ、やはり人に伝わるのは今も昔も最後は「暖かみ」や「やさしさ」なのかな、と思います。効率化は求めつつ、ひとつまみの「工夫」や「気づかい」は忘れてはいけないんだなあ、と50年前のパンフレットを手にして思った、ある週末でした。

高橋 学

高橋 学

不動産広告に携わり約20年。誰かが言っていた「遊びは真剣に。仕事は遊び心で」をいただいて座右の銘にしております。

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